知ってましたか?ヘルペスウイルスは基本的に一度感染すると一生付き合って行かなければいけないウイルスです。ウイルスの活性化を抑え、しっかりと知識をつけて生活するだけで発症を免れるのです。

ヘルペス脳炎がもたらすこわい症状

ヘルペス脳炎は、口唇ヘルペスの病原菌単純ヘルペスウイルス1型HSV-1の感染者の唾液による感染及び性器ヘルペスの病原菌単純ヘルペスウイルス2型HSV-2の感染者との性的感染及び母子感染による初感染時及び再活性化時に発症するとされ、HSV-1の感染による好発年齢は2歳とされ、6歳未満の発症リスクが高いとされています。

ヘルペス脳炎は、好発部位とされる大脳辺縁系及び側頭葉系にウイルスが到達し病変が生じるとされ、HSV-1及びHSV-2が潜伏感染する神経節からの経路と上気道感染による嗅神経からの経路、血行性の経路の3種類の感染経路があり、HSV-1は三叉神経節領域、HSV-2は腰髄神経節領域及び仙髄神経節領域より中枢神経系に感染します。

ヘルペス脳炎は、2日間~12日間の潜伏期を経て発症しますが、新生児ヘルペス脳炎と小児期及び成人のヘルペス脳炎では症状が大きく異なるとされています。
新生児ヘルペス脳炎は、産道感染が最も多い事から血行性の感染により全身型の症状や中枢神経型の症状を発症する傾向が強い一方で、小児期及び成人のヘルペス脳炎はHSV-1の再活性化による三叉神経節からの感染が最も多く、HSV-2による感染は脊髄炎及び髄膜炎として発症します。

ヘルペス脳炎は、発症初期には発熱や頭痛、上気道症状、全身の倦怠感など風邪に似た症状を引き起こし、急性期には髄膜刺激症状やせん妄症状、意識障害、全身痙攣などの症状に加え、幻覚や記憶障害、言語障害、異常行動などの非常に重篤な症状を発症します。
回復期には、健忘症候群や症候性てんかんなどを発症する事もあります。

ヘルペス脳炎の治療は、基本的にアシクロビルを10mg/kgを点滴静注で1日3回2週間行いますが、重症時はアシクロビルを20mg/kgまで増やし3週間程度点滴静注を行いますが、痙攣発作に対しては抗てんかん薬を投与し、脳浮腫にはマニトールやグリセロールを点滴静注を行うなど各症状に対して個別の対処療法が行われます。
ヘルペス脳炎は、抗ウイルス薬アシクロビルの開発により現在では小児の致死率が80%から10%程度と非常に低くなっています。

ヘルペス脳炎の診断は、アシクロビル投与前のウイルス量が減少していない髄液に含まれるDNAを増幅するポリメラーゼ連鎖反応法が最も正確とされ、酵素反応を利用するELISA法や血清中のHSVのlgG値、HSVのlgMの陽性反応などの検査も参考とされています。

ヘルペス脳炎には後遺症が発症する可能性が

ヘルペス脳炎は、現在では致死率が10%程度の脳の炎症疾患ですが、直接HSV-1及びHSV-2が大脳辺縁系及び側頭葉系の脳に左右非対称に侵入します。
侵入したウイルスは、脳細胞の出血や脳細胞の壊死など脳細胞を破壊し、意識障害や記憶障害、けいれん発作、幻覚などの重篤な症状を引き起こすと共に健忘症候群や人格変化、てんかん、鬱病などの重度の後遺症が残る可能性が非常に高く、社会生活に復帰出来る確率は50%以下とされてます。

ヘルペス脳炎は、発症初期段階は風邪に似た症状が見られる事から適切な処置が遅れてしまう事が非常に多くありますが、脳細胞には再生能力が無いので昏睡状態の様な意識障害や度重なるけいれん発作、頭蓋内圧亢進症、髄膜刺激症状などの重篤な症状を発症する前に少しでも早く適切な処置を行う必要があります。
ヘルペス脳炎は、早期発見早期治療するほど症状が軽く済み、後遺症のリスクも低下します。

小児のヘルペス脳炎は、成人では非常に稀な再発を繰り返す事も少なく無く、治療終了後も再発抑制を念頭に置き経過観察をする必要があり、治療終了後に後遺症が無くても徐々に後遺症を発症する事もあるので子供の言動や行動に細心の注意を払う必要があります。